ヒガイ断面

写真展に登場しているもの。
ほとんど断面なので、変わった印象を受けますね。
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ヒガイ断面 優美な内部


イメージ 1

 ある本に、ヒガイのレントゲン写真が載っていた。優美に連続する曲線の画像はなかなか魅力的だ。レントゲンは撮れないので断面を作ってみた。
断面を作って、まず感じたことは、見かけによらずなかなか丈夫な作りである。横断面は、殻口は丸く盛り上がって強度を増している。盛り上がりは、上下の水管先端を除き、内唇部の上下と外唇部全体に及んでいる。また巻きの始まりは、殻口から見て上方に始まっている。巻き数は4巻程度で多くない。優美で美しい貝である。
いずれもK町の底引き網で得られたもの。
 ヒガイの名の起こりは、織物道具の杼(ひ)が語源だと聞いたことがある。杼(ひ)は、織物を織る時経糸(たていと)の間に緯糸(よこいと)を通すために使われる道具で、両先端が尖った形をしている。写真で見ると、ひ(杼)の中に入っていて緯糸(よこいと)が巻かれているボビン(小管)の形が、ヒガイの形そのもののように見える。織物機械には縁のないものなので、貝の名前から初めてこの言葉を知った次第である。緋色(ひいろ)とは関係無いかもしれないが、こちらも貝に似た赤い色である。
この貝は、私が知っている限りK町の底引き網で採れる唯一のヒガイの仲間である。
・・・・漁労屑の中からピンク色のこの貝を見つけた時は、なかなかの感動である。