(255)ついにホラガイをゲット!



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採集したホラガイ


(255) ついにホラガイをゲット!

ホラガイ Charonia tritonis(Linnaeus,1758)

令和2年度の伊勢エビ漁が始まった。待ちに待った漁の到来である。

9月18日、夏休みをもらってK町の伊勢エビの漁師小屋に向かう。

7つ目の小屋のことである。5~6人で網からイセエビを外している。大漁でたくさんイセエビが上がっていた。

 

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大漁の伊勢エビ

ふと見ると、大きな貝が網の間から見え隠れしている。「大きな貝ですね!!!」と叫んでしまった。「自分で採るのだったら、あげるよ。」と、漁師のおばさん。

「絶対に網から外します!」・・・それからしばらく網と格闘し、貝の本体は外した。しかし殻口に網を食い込ませていて、外せない!「思いっきり引くんだ!!!」と言われるも、びくともしない。・・・結局、漁師のおじさんに網を切ってもらって、ゲット!!!

おばさんは、「孫にあげようと思っていたのに。こんなに大きいホッポは初めて。」

どうやら、最高のタイミングで来たのでゲットすることができたようだ。

二度目の小屋回りでも、なんと隣の小屋でも「大きなホッポをもらったようだね!」と言われる始末。

例の小屋でも、「孫にあげようと思っていたのに!」と笑いながら言われ、「ありがとうございました!!!」と明るく感謝の思いを伝えたのでした。

・・・・ホッポとは、漁師言葉でホラガイのこと。ボウシュウボラも、別の漁師がホッポと呼んでいた。

 

漁師は、薄くスライスして生でいただくか、焼いてもおいしいと言っていた。殻が欲しいので、口を開けたところをナイフで身をそぎ取ってみた。んん~ん!!!巨大な肉の塊だ。その大きさに圧倒されてしまった。

いつものように鍋に醤油と砂糖を入れ、ホラガイの肉もさっと沸騰させて火を止め頂いてみた。硬い肉だが嚙み切ることはでき、味はそこそこである。ただ量が多くて圧倒され、食傷気味になってしまった。

なお、ホラガイは猛毒のオニヒトデなんかも食べるので、内臓は処分した。

 

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             殻長30cm
 

写真は、採集したホラガイ。形の印象はボウシュウボラに似ているが、山鳥の羽のような模様や殻の形態はホラガイですね。

漁師の方が、口を下にしてぶら下げておけば身は腐って自然に落ちる!とアドバイスしてくれた。他の漁師にこの話をすると、身に重しをつけておくといいよ!とも教えてくれた。・・・漁師の方は、みんな親切ですね。

さて、庭の木に一週間ぶら下げておいたが、我慢できず身が落ちる前に強制的に身をとってしまった。

 

何年もエビ網漁に通っているのだが、ホラガイを採ったのは初めてである。ほしいほしいと思っていた!

 

 

(254)ショウジョウガイのクリーニング

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ショウジョウガイのクリーニング 上:採集時 中:表面のごみを取ったもの 下:洗って完成

 

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ショウジョウガイのクリーニングその2 左:採集時 中:大きなごみを除いたもの 右:完成

 

(254)ショウジョウガイのクリーニング

Spondylus regius (Linnaeus,1758)

ショウジョウガイは、浅い岩礁に住んでいるため、表面に様々なものを付着させている。そのため、採集した時にはまるでゴミのようである。

これを丹念に取り除いていくと、目を見張るばかりの貝に変化していく。

写真は、この工程を撮ってみたものである。まず大きなフジツボなどを取って行く。次に、細かな付着物を丹念に取り払う。最後の仕上げに、丹念に洗って出来上がりである。まことに根気のいる作業であるが、なかなかこれが楽しい。

クリーニングの結果を観賞下さい。

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クリーニングを終えたショウジョウガイ 左上:前回の記事のもの 下:一番大きな個体 全て今年の採集

(253) ショウジョウガイ

 ショウジョウガイ 

Spondylus regius (Linnaeus,1758)

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ショウジョウガイ(1)

 

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ショウジョウガイ(2)

はてなブログに乗り換えて、初めての投稿です。

地の利を得て、海の漁で混獲される貝をもらいに行っています。自称「海乞食」です。

興に乗れば、どんどん投稿できると思います。よろしく 

 

黒潮町では9月下旬からエビ網漁が始まる。 

海が荒れると、網が動き岩に付いているショウジョウガイが混獲される。

台風19号は、高知沖を9月12日に通過した。この時、水深90~100m近くに降ろされたエビ網でも、まるで藻屑のようにずた  ずたになっていた。13日に入れた網でも海底では波の影響が多かったようで、翌日この貝が絡まって揚がってきた。漁師のおばさんに、「自分で貝を外せばあげるよ!」と言われ、挑戦してみた。刺し網に絡まった貝を外すのは、なかなか根気がいる作業である。棘のある貝は、棘が折られていることが多いわけだ。

「網を綺麗にするには、1日かかるね。」と言ったら、「いいや、4日はかかる。」と言われ、驚愕した。漁師の苦労は絶えないが、見事に大きなイセエビが掛かっていた。

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採集地:高知県黒潮町

採集日:2019年10月14日

殻長(棘を除く):右殻97mm、左殻86mm

殻幅(棘を除く):右殻87mm、左殻87mm

エビ網に混獲

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ショウジョウガイ(3)

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イセエビ漁の獲物

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エビ網から獲物を外している様子

(252)ヤマビトボラの遠島型?

(252) ヤマビトボラの遠島型
 
 
Tabia powisi  (Petit,1842)
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ヤマビトボラ(1)
先日頂いた沖ノ鳥島沖の貝、その2です。
少し戸惑ったのですが、全体的にヤマビトボラの特徴を備えています。特徴的な殻口外唇の5刺は、図鑑と同じです。全殻淡褐色とのことですが、殻口側は白色です。HP等で見ると、色のこのようなバリエーションはあるようです。一番異なるのは、表面装飾です。
原色日本貝類図鑑のヤマビトボラと比較すると、螺層上の太い螺状肋が殻頂まであり、細かい螺肋と縦脈があるとのことです。この標本では、体層の下半分のみ螺肋が見られますが、他の装飾が見られずつるつるです。
沖ノ鳥島は、他の島とも遠く離れ周りは5000m程の深海です。標本は一個のみではっきり言えませんが、隔離された環境でこの様な形質になっているのかもしれません。

ヤマビトボラは紀伊半島以南の熱帯西太平洋に分布している。
 水深100m~200mの砂の海底に住む。

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採集地:沖ノ鳥島

採集日:不明
殻長:42mm、殻幅:12mm
ドレッジ調査にて採集
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ヤマビトボラ(2)

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ヤマビトボラ(3)


(251) ヒラコマ

(251) ヒラコマ
 
 
Calliostomahaliarchus  (Melvill,1889)
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ヒラコマ (1)
先日、友人に沖ノ鳥島沖のドレッジ調査で得られた一袋の貝を頂いた。小さな袋に、たくさんの貝が入っていた。その中での大きい貝の一つである。調査の残渣であるが、私にはとても手に入れることが出来ないものなので状態の良いものの幾つかを載せてみることとする。こんな宝物を頂いて感激している!!!ありがとう!!!
 ヒラコマはニシキウズ科の一つで、本州南部以南に生息している。水深50m~200mの砂地に住んでいる。殻高40mmとのことなので、この個体はかなり大きい。円錐形のシャープな形態で、殻口内部は真珠光沢があり美しい。
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ヒラコマ (2)

沖ノ鳥島は、日本最南端のサンゴ礁の島である。北回帰線より南にあるので、熱帯圏になる。・・・日本に熱帯圏の領土があるとは知らなかった!!!
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採集地:沖ノ鳥島
採集日:不明
殻長:47mm、殻幅:44mm
ドレッジ調査にて採集
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ヒラコマ (3)


(250)ショクコウラ


(250) ショクコウラ


 

 

Harpamajor  Röding,1798

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ショクコウラ(1)


ショクコウラ科の最大種である。殻長6~10Cmに達する。(12)ショクコウラで、一度登場したが、今回は形が整った生貝である。以前から手に入れたいと思っていた。幅の広い縦肋があり、肋間には細かい縦横の網目状の凹凸がある。そして独特な模様がある。エビ網漁で混獲された。


貝の名前はとっつきにくくしっくりと来ないと思っていた。調べて見ると古代中国の蜀の国の絹織物:蜀江錦(蜀紅錦)に由来しているとのこと。中国・蜀(四川省)で産する赤染めの錦で「蜀江錦」とも表す。紅や黄茶の地色に独特の幾何学式の文様が施される。現在でも帯・小物袋などに使われているようである。その様に言われて見ると、少し馴染みが出てきた。


参考:漢字/蜀紅螺 由来・語源/武蔵石寿『甲介群分品彙 1836』による。三国志「魏」、「呉」、「蜀」の蜀の国で作られていた布、蜀江錦(蜀紅錦)に文様が似ているため。(HP:“ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑”ヒメショクコウラを改変し引用)



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採集地:
採集日:20181111

殻長:94mm、殻幅:64mm

エビ網漁にて捕獲


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イメージ 2

ショクコウラ(2)
イメージ 3
ショクコウラ(3)


(249)タコブネ

(249) タコブネ 
 
 
Arugonauta hians  (Lightfoot,1786)
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タコブネ(1)

イメージ 3
 タコブネ(2)
 底引き網の魚の選別しているおばさんが、2個のタコブネを渡してくれた。
 まるでアンモナイトのような姿のタコブネである。これまで一度しか出会ってない貴重なものだ。殻の厚さは0.20.3mm。2個共欠けがあるのは致し方ないことだろう。表面は灰色がかった艶消しの色合いだが、内部は光沢がある。
 殻長は79mmと65mm。図鑑には80~90mmとあるのでほぼこれ位の大きさだ。
 タコブネの殻は、メスだけが持ち、この中で卵を保育するとのこと。抱卵期は、10月頃とのこと。メスは8Cm程だが、オスはずっと小さく4㎜程とのこと。オスには殻が無く普通のタコの形だそうだ。太平洋、日本海の温帯域の表層に浮かんで生活している。
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採集日:2018年11月23日
備考:底引き網漁
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イメージ 2タコブネ(3)

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タコブネ(4)